FRITZ HANSEN PKシリーズ PK22 ラウンジチェア
北欧でも随一のミニマリストといわれる家具デザイナー、ポール・ケアホルム。彼が51年の生涯で生み出した家具は、極限まで無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインで、その一つ一つが名作以上といわれる芸術作品の領域に達しています。
今回はその中から1956年に発表し、美しさにおいても技術的にも大きく飛躍するきっかけとなった代表作・PK22 ラウンジチェアをご紹介します。
家具の建築家
1ミリ以下の誤差も許さず、完璧な造形を追求したケアホルムは、1929年にデンマークで生まれました。家具職人の修行を経て、コペンハーゲンの美術工芸学校を卒業。若い頃から才能にあふれ、在学中はハンス・J・ウェグナーの事務所で修行し、1952年フリッツハンセン社に入社。翌年退社し55年頃からE.コルド・クリステンセン社の協力のもと、PK11やPK22など数々の名作を生み出しました。
その多くは現在フリッツ・ハンセン社から復刻されており、極めてクオリティの高い「ポール・ケアホルム・コレクション」は、同社の多くのコレクションの中でも特別な存在に位置しています。
また、ケアホルムは素材や構造への造詣が深く「家具の建築家」を自認していました。そこには、空間がもたらす体験とデザインにおいて家具が重要な役割を担うという彼の強い信念が反映されています。
木製家具が主流の時代に鉄や石などの異素材を用い、確立した独自のスタイルは、今でも他に類のない機能美で、建築家、デザイナーをはじめ、多くの人々を魅了しています。
PK22の誕生
ケアホルムは美術工芸学校の家具コースで学んだ頃から、すでに木以外の素材の構造に着目していました。特に好んだのは変幻自在な特性のあるスチールで、フリッツ・ハンセン社を退社後、スチールワイヤー、鉄筋コンクリート、鋳造アルミニウムなどの素材を使った家具のプロトタイプを作成しました。スチールをシンプルに組み合わせた椅子やテーブルの試作を繰り返し、1955年、理想のスチールを見つけます。同年ビジネスパートナーとなるE.コルド・クリステンセンと出会い、共通のビジョンで家具の製造と販売をスタートします。
1956年に発表した最初のコレクションに、PK22が含まれていました。
PK22はケアホルムが卒業制作として作成した、彼の最初の傑作となる、一片のスチールと帆船用のロープだけで作られたPK25ラウンジチェアを進化させた椅子です。アームと膝裏に硬いスチール部分が存在しましたが、PK22では座面裏のパーツが左右のフレームをつなぐことで、身体に硬さを感じさせない工夫がされています。
「家の中のスペースごとの役割は、家具によって変わるべき」だと考えていたため、PK22にはリラックスするための広いシートと座面と背もたれの傾斜、長時間いられる座り心地の良さなど、ケアホルムの考える理想のラウンジチェアが表現されています。さらに重心が低く空間を圧迫しないので、視界が遮られず、住空間を開放的にできます。
この新しいラウンジチェアは国を超えて評価され、翌1957年に当時のデザイン界で最も権威あるデザイン・アワード、ミラノ・トリエンナーレのグランプリを獲得しました。
ミニマリズムで快適に
心に残る彫刻的なカタチと軽やかさ。
PK22にはウレタンやフェザーなどのクッション材が存在しないため、座り心地の想像が難しいかもしれません。
しかし、18歳で家具職人のマイスター資格を取得し家具の構造を知り尽くしているケアホルム。最小限の素材と構造で最高の座り心地を実現しています。
ミース・ファン・デル・ローエの言葉「Less is more」のように、ミニマリズムが体現されています。
左右のフレームでシートを支えるハンモックのようなつくりで、身体全体をゆったりと支えます。長時間座っても沈みこみすぎないため、いつまでも快適に過ごすことができます。
座面の高さは35㎝と低く、日本人の体格にもしっくりします。
立ち上がりは、フレームが入っている部分に手をかけることでスムーズです。
ケアホルムの美学は家具の細部にも宿っています。PK22では、同じスチールの平板をフレーム、足、座面の支えなどの各部位に使い、小型のネジで組み上げるような技を使いました。使っているとほとんど見えないそのネジも自身がデザインしており、どの角度から見ても完璧なオブジェを作ることに妥協しないケアホルムのこだわりが感じられます。
3種類の仕様
キャンバス、レザー、籐の3種類の仕様が用意されています。
ケアホルムは自分の家においた家具を一生使い続けようとしていました。だからこそ長く使うほどに美しくなる素材を選びました。
フリッツ・ハンセン社も彼の意思を継ぎ、スチールを含めどの素材も最高品質のものを使い、PKシリーズを製作しています。
キャンバスとレザーは、耐久性のあるキャンバス地を下地とし、その上から生地やレザーを張り仕上げており、ゆったりとした掛け心地です。
長く使用することで身体にそって少しずつシートにたわみが出てきます。下地が強いので、大きくたわむことはありません。年月をかけてくったりとした味が出てきます。
キャンバスもレザーもしっかりとした厚みがあり、レザーの艶やかでしっとりとした肌触りが気持ちよく、高級感があります。
籐仕上げは、長年の使用に耐えうるたわみの少ない強度のある籐を使用しています。ぎゅっと編み込まれているので、気持ちの良い肌触りと波打つ網目が感じられます。年数をかけて籐が色濃くアメ色に変化し、風合いが増していきます。
空気を通すので背中に熱がこもらず、年中爽やかな掛け心地です。
フレームに使用されているサテン仕上げのステンレススチールは、耐久性にも優れ、他の天然素材と調和する視覚的な温もりやソフトさを備えています。
キャンバス、籐はナチュラルなスタイルに。レザーはモダンで優雅な空間に。
理想の空間にあわせてお選びください。
クッションやブランケットを合わせると、いろいろな表情が楽しめます。
PK22の美
直線的なデザインが印象強いPK22ですが、ケアホルムは「美しさの基準は自然にある」ことを信念とし、シンプルで控えめな自然のフォルムをデザインの手本としていたため、自然をインスピレーションとした曲線も存在しています。ステンレススチールの脚やシートと座面の傾斜に美しい曲線を持ち、フレームの繊細な薄さも素材の強さに見合ったサイズで作られています。
スチールや革、籐などの家具を構成する素材も、自然由来の質感や色合いが一番美しいと考えていて、できるだけ素材を生かすように仕上げました。
そして、人が使って初めて美しさが完成されるように計算されています。家具は使うためにあるからです。
ケアホルムの功績は、彼が世界の著名なデザイナーとともにモダンデザインの巨匠として認められていることからも証明されます。
いくつかの作品がニューヨーク近代美術館(MOMA)、パリのポンピドゥセンターなど世界の主要な美術館のパーマネント・コレクションに選定されてること、世界有数のアートコレクションと一緒にケアホルムの家具が設置されていることでお分かりいただけます。
世紀を超える名作
PK22は、タイムレスでそこに置くだけで空間を変える力があります。
いつでも私たちの心を満たしてくれるポール・ケアホルムの家具の魅力は、一目見て夢に出てくるほど気に入り、一生もののチェアとしてPK22を迎えたお客さまもいらっしゃるほどです。
世紀を超え「実用的で美しいもの」であり続ける名作を、FRITZ HANSEN IN SHOP @attract e/M でぜひお試しください。
【Q&A】
Q.ノックダウン式の家具ということですが、組み立ては必要ですか?
A.デンマークより完成した状態で届きますので、梱包を開けていただくだけでお部屋に設置できます。(ノックダウン式は、製作時ケアホルムが国外でのマーケットを重視しており、現地でも組立できる構造としていたからです。)
Q.土台がスチールということですが、重いですか?
A.レザー使用のもので11kgの重さですので、女性一人でも移動が可能です。サイドからフレームが入っている部分をお持ちになって移動させてください。
Q.納期を教えて下さい。
A.受注生産のため、5〜6ヶ月でのお届けになります。期日がある場合は、お早めにご注文ください。
当店アトラクトは、四国 高知にある FRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン) 製品の正規販売店です。製品に関する内容は、お気軽にお問い合わせくださいませ。
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この記事を書いた人 アトラクト 四国の高知にある㈲アトラクトは、ラルゴ店とイーエム店の実店舗2店舗と、オフィシャル・オンラインショップおよび楽天市場・Yahoo!ショッピングにてオンラインビジネスも展開する会社です。北欧家具をはじめとするインターナショナルなラグジュアリーブランドの他、インテリアからファッション、デザイン雑貨に至るまで、機能美とデザイン性を重視した厳選商品を取り扱い、それぞれの持ち場でプロフェッショナルを目指して日々精進しています。